クリクラ!で「PSX は見切り発車、PCの悪しき慣習の影響を見た思いだ」(*1)という意見に共感するということが書かれていたので、それに対する鵺的見解を書いてみようと思う。
見切り発車という意味ではその通りだろうと思う。たぶん PC の悪しき慣習の影響もあるのだろう。ただ家電製品がいままで本当に完成された状態で出荷されていたのかというとそれはどうだろう。どんな家電製品だろうと最初の頃はあまり完成度は高くない。世代を重ねるごとに完成されていくのである。旧機種を持っていた新機種を購入したときに「使い難いと思っていたところが改善されている。やっぱり購入してよかった」と思った経験は誰にでもあるはずである。でもこれは言い換えれば今までの家電製品はたとえどんな小さな改善点でも“新しく買い替えない限り”はその恩恵にあずかることはできなかったということだ。
ネットワークアップデート(ファームウェアアップデート)をあてにしすぎることには問題はあるかもしれないが、ネットワークアップデートをポジティブにとらえることにより開けてくる世界もあるのではないかと思う。いままで家電製品を購入してから気に入らないところがあっても「ま、しょうがない。次に期待しよう」あるいは「今度買うときは別のメーカーにしよう」とあきらめるしか手段はなかった(*2)。でも、ネットワークアップデートという手段がちゃんと活かされるのなら(*3)、ユーザとメーカーが一緒になって製品を育てていくことができるのではないだろうか。いままでだって SONY ユーザは沢山のお金を注ぎ込んで何世代も掛けてそれをやってきたわけだから、1つの製品サイクルの中でそれをやったからと言って本質的に何の違いがあるのだろう。
たぶん PC の悪しき習慣が身に付いているのだろうけど、Apple や SONY の初モノは所詮パブリックベーダだと割り切っている。そうでなければ何世代か待って技術が枯れてから他メーカーの廉価で安定した製品を購入する(*4)。個人的に PSX は潜在能力はあるが訓練されていないのでそれが活かされていないと思っている。(SONY の開発者がわかってくれるかはわからないが)自分的にはそういうつもりで「ダメ出し」をホームページに書込んでいる。
ネットワークアップデートにはバグフィックスというネガティブな使い方だけではなく、成長する家電という大きな可能性(*5)がある。私の記憶に間違いがなければ CoCoon ではそれをうたっていたはずである(*6)。IT家電製品でどう使っていくかというのはこれからのIT家電にとって大きなポイントになるのではないかと思う。たぶん、多くの保守的な家電メーカーはそれをうまく使えないだろう。新しいフロンティアの開拓者に PSX がなってくれることを期待したい。
*1) もとの文章はかなり長いのでざっくりと省略しています。あしからず
*2) 家電製品に限らない。Javaアプリが使えるようになったとは言え携帯電話も本質的に同じ。家電製品が完成されているというのは実は幻想なのではないか?
*3) 単にバグフィックスだけやファーストロットに間に合わなかった機能のアップデートだけでは面白くない
*4) 個人的にはシャープの低価格製品が好み。昔使ってたシャープのテレビは15年以上使い倒した(^^;
*5) 可能性だけではなく安易に未完成の製品を出してしまうという危険性もあるパンドラの匣でもある。個人的には匣の底に残っている“希望”を信じたい
*6) もっとも CoCoon でそれが効果的に使われているという噂は聞かないが…
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