HP の研究チームが社内電子メール分析で人間関係を図式化するという研究報告を行ったそうです。
パソコン通信をやってたころにフォーラムやメーリングリストの内容を自動的に収集する分析ソフトにかけて使用されている用語や言葉遣いなどを解析したら面白いプロットができるんじゃないかなと考えたことがあったけど、実際にそういうことをやるところが出てきたみたいですね。
学生の頃 図書館で文化人類学の本とか読むのが好きだったんだけど、文化人類学の基本であるフィールドワークというのはひとつのジレンマを抱えています。調査のために現地の人と交流するとそれが逆に現地の人に影響を与えてしまって調査データに影響を与えたり、文化そのものにも影響を与えたりということです。(*1)
デジタルネットワーク内のコミュニティにおける社会行動学・文化人類学なデータ解析は旧来のフィールドワークでは考えられなかったバイアスのないデータ (*2) を得ることができるという意味でなかなか興味深い。ネットワークコミュニケーション(メール、ネットワークゲーム...etc)に限られるという限界はあるが、メールが一般的な通信手段となってきた現代においてはネットワーク人類学というのもひとつの研究対象として確立するのかもしれない。
*1) 同じことはアジモフのファウンデーション・シリーズに登場する歴史心理学でも問題になっている。
*2) 調査している/見られているということをコミュニティの参加者が知ってる(そもそも許可をとらないとプライバシーの面で問題になる)とそれがバイアスになる可能性はある。しかし、調査対象者には見られているという物理的なフィードバックがないためにそれはすぐに気にならなくなるのではと思われる。
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