100ドルPCプロジェクト(OLPC)では液晶ディスプレイとメッシュネットワークの2つが大きな技術的課題となっているのだが、そのうちの1つ液晶ディスプレイについて eWEEK(翻訳は ITmedia)が CTO のメアリー・ルー・ジェプセン氏にインタビューしている。
この記事を読むとどうやら OLPC の液晶ディスプレイは ClearType のようなソフトウェア技術をハードウェアで実現するようだ。OLPC の液晶ディスプレイの特徴としてモノクロモードとカラーモードで解像度が変わるわけだが、ClearType が RGB の1ピクセルを R, G, B のサブピクセルにわけて擬似的に3倍の解像度を実現していることを思い浮かべるといい。
「ピクセルのレイアウトをカラーの対角ストライプに変更しました。これにより、パネルの解像度を水平方向と垂直方向の両方に増減できるようになりました(標準のレイアウトでは、水平方向にしか増減できません)。」
というのはこのことだ。ClearType は通常の LCD を使用するため水平方向に対し解像度が3倍になる。縦横どちらにも解像度を引き延ばすために斜めにしたということらしい。もうひとつ肝なのが
「コストのかさむカラーフィルターの一部(あるいはすべて)を削除しました。」「ピクセルを常に特定のカラーに制限しないことにしました。どのピクセルも、あらかじめ色を指定しておくか、モノクロにしておくことができます。」
つまり RGB の各ピクセルの色を切換えることができるらしい。これによりカラーフィルタはいらなくなるし、ClearType のような擬似的な解像度の増加ではなくちゃんとした解像度の増加が可能ということらしい。いったいどういった技術によりそれが可能なのか私には皆目検討がつかないのだが非常に興味深いところである。
さて気になるところが2点。
ひとつはカラーモードの場合はいいとしてモノクロモードのとき対角ストライプによりソフトウェア的な問題は発生しないのか。結局解像度が増えると言っても ClearType のようにアンチエリアシングでしか効果を発しないのかもしれない。
もうひとつは、この液晶を普通のノートPC用に売らないのかということである。もし喧伝されているようないいことづくめなら(普通デメリットはわざわざ言わないのですべてを真に受けるわけにはいかない)、当然 OLPC 以外のノートPCでもメーカーは使いたいと思うだろう。その場合、膨大なパテント収入が発生することが予想されるわけだがそれがどこに入るのか(たぶん MIT?)、また OLPC プロジェクトに還元されて価格をさらに安くできないのかなど気になるところである。
⇒ 100ドルPCプロジェクトのディスプレイ、どこが画期的なのか?(ITmedia)